《美術品の審美眼 第6回》
その時点で、美術品に関する興味は以前とは格段に備わっている筈です。美術に関する知識にしても芸術的な地頭が出来上がっていれば、文化勲章クラスの画家の名前、日本古美術史に名前の残っている江戸以前の巨匠画家の名前、重要無形文化財クラスの陶芸家や彫刻家、金工家、漆芸家などの名前が勉強する前よりずっと記憶しやすくなっている筈です。
作家名だけでなく各地の陶芸の窯の特徴や、その歴史、日本絵画の歴史的な潮流などもわかる様になってきます。ここまで頑張れば、もう既に美術に関して造詣の深い人になっている事でしょう。あとはその循環です。
美術館へ行く、テレビで日曜美術館や美の巨人やBSでやる浮世絵特集や仏像のプログラムなど見たり、骨董関係の本やオークションの図録を繰り返しみたり、ひらすら繰り返します。何度も何度も何度も。
やがて小さな美術的な知識の欠片が、パズルのように少しずつ寄り集まり、形を成してきます。
その形を成したパズルは、更に大きなパズルへと組み上がり、造詣と呼べる貴方の教養へと進化するのです。
もしかしたら、その美術的教養は、誰に気付かれる事もないままに終わるかも知れません。
あなたが、その知識をひけらかす事さえしなければ、誰も気付かないでしょう。でも、それでいいのです。
美術的な教養は人の内面を鎮かにして、必ずあなたの人生を豊かにすると思います。