嵌め込み屋奇談 その4
それは八王子市の大きな墓地の横のマンションに呼ばれた時のことだ。 そこには東南アジアの某国の姉妹が待っていた。 姉妹は大学生で、ソファーに座る僕の前に、壁面の収納から備前の人間国宝の金重陶陽の花生けと大皿を持って来た。勿 …
それは八王子市の大きな墓地の横のマンションに呼ばれた時のことだ。 そこには東南アジアの某国の姉妹が待っていた。 姉妹は大学生で、ソファーに座る僕の前に、壁面の収納から備前の人間国宝の金重陶陽の花生けと大皿を持って来た。勿 …
全くの素人の嵌め込み屋もいる。多分、何かの切っ掛けで思いついたのだろう。 《骨董屋に偽物を売りつけても罪にならない》確かにそれはそうである。 骨董屋はプロ、売り手は素人、素人が「良く判らないが、大昔から家の納戸にあった」 …
嵌め込み屋と言っても色々な種類がある。 高知の八百屋を営んでいる男性から、電話が掛かった来た事がある。 電話の声は30代半ばくらいの、張りのある声だ。 「死んだ親父の集めた骨董品が3階分のビル一杯にある」 いい話だ。 な …
骨董品業界と言えば、魑魅魍魎の世界である。 これは間違いない。その世界で生きている僕も幾度かそれに触れた事・・・いや、呑み込まれた事がある。 この仕事を始めたばかりのまだ素人に毛の生えたような僕に、ある日、鎌倉の古い家に …