《美術品の審美眼  第3回》

骨董品を見極める目を利かせる方法の続きである。前回は、ドライブをしながらDVDをかけながら繰り返し見る所まで話しましたたが、これは何度も何度もしつこく潜在意識に染み込ませるように繰り返して聴く(見たら危ないですから、くれぐれも聴くだけで)、それを根気よく続けると、骨董品、美術品の覚えるべき作家名とか、陶磁器の窯や茶道具の作法とかがおぼろげに判る様になる。判ると言っても、どれもこれも、果てしなく深いから、初歩の初歩である。
初歩でも、知ってるのと知らないのとでは、大きな違いがある。

その初歩の知識を基本に、そこに専門的な知識を積み重ねてゆけばいい。
実際の美術品や骨董品を見るために、博物館や美術館を訪れるのも大変効果的な学習である。

ただし、そのほとんどが硝子越しで、骨董品迄の距離が遠いので、じっくり長い時間をかけてつぶさに舐める様に見ないと、感覚が身体に沁み込むことは無い。
見る際は、その骨董品を手に入れて、喜んでいる気分を想起しながら見る事が大切な事である。そうすると暫くするとその骨董品に近い品物を売買するチャンスが本当に訪れるのである。

次に、売買である。骨董品は、決められた価格は存在しない。例えば同じ骨董品でも、神社などで開かれている骨董市で露天商の売っている価格と店舗を経営している骨董商(店師)の販売する価格とではかなり違いがある。現に店師が明け方暗い内に、骨董市に骨董市に来て仕入れをしたりする。つまり一般の人でも、安く買う事が出来る訳だ。

例えば、神社で購入した骨董品をヤフオクで販売することも可能だ。
電話機コレクターが希少な電話機を、骨董市で5万円で買ってヤフオクで50万円で落札された話を聞いた事が有る。

露天商だって、なんでもかんでも判っている訳ではないので、自分の専門分野以外は根付が安いことも良くある。
それを狙えばいい。品物は取り敢えず何でもいい。もちろん、その品物の専門知識はある程度学ばなければならない。きっと最初は、損をすることもあると思うけど、根気よく続けていると、色んな事が判って来る。

品物の詳細な知識、ちょっとした形や色の違いでの大きな価格差、年代の差異、傷の有無など失敗しながら学んでゆく。そして一つの骨董品のカテゴリーに目が利く様になると、他の種類の品物に対する目利きも鋭くなってくるのだ。