《骨董市場 その2》

だから僕は、骨董品市場には殆どの場合、搬入だけして、当日は行かない場合が多い。しかし、骨董品市場は出品者が行かないと、どんなインチキな行為が行われるか判らない骨董品市場も存在する。

差し障りが有るので、詳しい場所は言えないが、ある地方の大きな都市の市場で、本人が行かないのを勿怪の幸いと、1桁落として伝票に書き込むのだ。つまり楽茶碗の優品が300万円で落札されても、伝票には30万円としか書かない。それで後から出品者がクレームを付けて来たら「申し訳ない、付け間違えです」で済ますのだ。

その市場は、そんなことが、度々あるので明らかに作為が感じられる。
僕の出品している市場は、古い付き合いの市場で、そんな事が絶対に無い市場なので、安心して任せっ放しに出来る。

何事もそうだと思うが、骨董品市場には《顔》が利くという事がある。
《顔》が利く市場なら、売り順番も一番いい順番で売ってくれる。

競りの場ででも、直ぐに落札させないで引っ張ってくれたりする。
《顔》を利かせる為には、どうしたらいいか?
それは、ひたすら人気の品物を、沢山長い間出品する事である。

そして売り上げが上れば、それはその市場の繁栄に寄与した事になるからである。
場合に拠っては、売りの中心になる買い出し屋が決まっていて、その人物の出品する品物が全体の8割を占めて、その買い出し屋が来ないとオークションが成立しない事すらある。