《骨董品の流行りと廃り  その6》

前回は、根付の話をしたが、根付に限らず。江戸小物と呼ばれる主に老舗の旦那衆や裕福な武家(旗本の上級武士など)が買い求めて贅を競った品々は、概ね凋落の一途を辿っている。

印籠や煙管入れ、日本刀の鍔に柄に付けるか飾りの目貫や鞘に嵌めこむ小束や笄、財布の前金具(飾り金具)など、以前は大人気の骨董品、古美術品だった物が概ね元気が無い。

何故だろう、ひとつには一向に実感が伴わない景気の回復、必要の無い品物は持たないようにしようと言う社会的の流れ、骨董品を愛玩する趣味そのものの衰退や、熱心な蒐集家の高齢化など、幾つも考えられるが、それは日本に限らず、世界的な風潮であるらしい。

去年の年末にロンドンに行った。英国と言えば世界を代表する骨董品の国だ。国民の気質も、古い物を愛でて新しいモノを嫌う傾向に有る。以前に行った時は、ボンドストリートやオックスフォードストリートには骨董品屋が軒を連ね、アンティークショップの集合体であるアンティークモールもロンドン市内に幾つも有ったものだが、それが事ごとく廃業していて、既にロンドン市内には1か所だけ、それも骨董品というよりビンテージの家具を置いているモールが辛うじて1軒あるだけだという話だ。

アンティークモールを訪れる事を旅の楽しみの一つにしていた僕が愕然とした。
骨董品に買取をしていても、毎年真綿で首を絞められている感は否めない。

僕が言うのもなんだが、日本でも骨董品蒐集ということ自体が、衰退縮小の道を急速に走っているのではないだろうか?

考えると恐ろしい。
さて、骨董商は何処へ向かって行けばよいのだろうか?