絵画の価格

皆さん、絵画の価値ってどんな感じで決まると思いますか? 例えばデパートの美術催事や、画家の個展などで、10号くらいの自宅の居間に飾りやすい油絵が30万円で売っていたとします。 30万円結構な金額ですよね。でも、その油絵は、自宅に持って帰って暫く眺めていたとして、その時点ですでに(それが1カ月だったとしても)換金性は限りなく二束三文になります。 何故なら3万円/号くらいの絵を描いている画家の絵には相場価格が無いからです。 相場価格というのは、主に有名オークション(国内では毎日オークションやシンワアートオークションなど)で落札される価格です(業者買取価格はそこから利益に該当する金額を引いた価格)。 有名オークションのデータベースには過去十年分の膨大なその作家の落札データがありますから、その中の遡る事1年間くらいのデータの平均が相場価格の目安になります。 恐らく3万円/号くらいの画家の絵は、そのデータベースに掲載されていません。すなわち相場価格が無いという事になります。 相場価格が無い絵に関しては、殆ど値段は付かないと思っていいです。 では、何故30万円もしたのか?それは、その画家の生活の為です。 30万円と言っても、実際に画家の手元に入るお金はその60%のの18万円くらい入れば御の字です。 その中からキャンパス代やら油絵具代やらを差し引きます。 20枚も売れれば、300万円以上のお金が手に入りますが、それでも20枚描くには2年位はかかりましょうか。2年で300万円では食べていけませんので、絵画教室を開いたり、カルチャーセンターの講師をしたり、或いは奥さんの稼ぎが良かったり・・・。 でも20枚も売れるの? 売れるんです、なぜ売れるかと言えば、それは絵画教室やカルチャーセンターの生徒が買ってくれたり、友人が義理でつき合ったり、仲間の画家が自分の個展の時のお返しに買ったり、百貨店の外商が口車を回して富裕層に売りつけたりするからです。 日本の場合は、有名で無い画家の絵の良さを見つけて、ただそれだけで購入するアート好きなお客様は殆どいません。 アメリカとかだといますが。 日本では、文化勲章受章者またはそれに準ずる画家の作品しかきちんとした形では、売れません。悲しい現実です。 誰でも知っている東郷精児、東山魁夷、平山郁夫、片岡球子、藤田嗣治、熊谷守一、棟方志功などの巨匠の絵は、黙っていても売れます。 皆が欲しがるからです。 因みに〈美術年鑑〉に掲載されているから有名な画家という訳では有りません。あれは、掲載料を払って乗せてもらう側面もある画家の広告みたいなものですし、号幾らの価格も自己申告だったりします。 兎にも角にも、資産として買うならば、有名な画家の絵です。それも中途半端に有名では無くて、高くても超有名な画家の絵を購入すれば、そんなに目減りはしない可能性はあります(あくまでも可能性、有名どころで有っても、価値が半減する事もあります)