嵌め込み屋奇談 その3
全くの素人の嵌め込み屋もいる。多分、何かの切っ掛けで思いついたのだろう。
《骨董屋に偽物を売りつけても罪にならない》確かにそれはそうである。
骨董屋はプロ、売り手は素人、素人が「良く判らないが、大昔から家の納戸にあった」
と言って、例えそれが偽物でも、骨董屋がそれにいくら高額の値段を付けて買っても
罪になる事は無い。
値段を付けるのは骨董屋である。まったく犯罪の可能性は無い。
後は、素人みたいな骨董屋を見つけて、いかにもな贋作を用意して、それらしいストーリーを考えて、骨董品屋に見せれば良いだけだ。
結構、この素人の嵌め込み屋というのが各地に居て、大体は夫婦である。
結構な住宅に住んで居て(自宅かどうかは判らないが)、品格が有って物腰も柔らかい。
品物も簡単には見分けがつかない、良く出来た贋作である(それなりに金がかかっている)。
後は、どこかの骨董屋が引っ掛かる迄、何人でも繰り返し呼べばよい。
そのうち誰かが引っ掛かる。
僕も、これは嵌め込み屋では無いが、ある東南アジアの国の姉妹の酷い目に合わされた事が有る。
(その4につづく)