骨董屋の種類さまざま 《露天商6》

古久根さんの主催している骨董市は、町田天満宮の他に高幡不動尊もあった。
高畑不動は、背後に山が控えていて、とても気持ちがいい神社だった。

いい場所を割り当ててもらっていたし、スタッフも明るかったし、
天気がいいとまるでピクニックのような骨董市で楽しかった。

古久根さんには、川越の骨董市でもお世話になった。川越の骨董市は、東郷神社と並んで
関東の2大骨董市で、出店希望の骨董業者が30人も待っていると言われていたのだが、
臨時扱いで、たまに川越に出点させて頂いていた僕に、

「細川さん、レギュラーになればいいじゃん」
「いやぁ~古久根さん、無理ですよ~」
「でも出たいでしょ?」
「そりゃ、出たいですけど・・・」

古久根さんは、いたずらっ子のような笑みを浮かべて、

「ちょっと一緒に来てみ」
古久根さんはそう言うと、僕の腕を引いて、川越骨董市の主催者の竹日さんの所に連れて行った。
「竹日さんさぁ、細川さんに場所あげてくんない?」
竹日さんは、苦虫を噛み潰したような顔で、
「えっ~古久根さんは~、また無理言って~」
「いいじゃん、頼むよ、例の件なんとかするからさぁ」

例の件?ってなんだ?

竹日さんは、溜息をつきながら、
「んもう~、しょうがないなぁ~。じゃあ細川さん来て」
僕は、事の成り行きに戸惑いながら、竹日さんの後ろを付いて入った。
竹日さんは、南側の塀の所に連れて行って、無理くり場所を作って、

「じゃあ、ここね」そう言ってくれた。
後ろで僕と竹日さんを見ていた古久根さんは、
「そこ場所が狭いし、半額にしてあげなよ」
そう言ってくれた。竹日さんは、
「んもう~、しょうがないいなぁ~」

あっと言う間に、川越に僕の場所が出来て、会費は半額になった。
古久根さんは、眩しかった。僕の一番の恩人だ。

古久根さんが亡くなって、もう10年になる。時々、僕は古久根さんとの事を
思い出しては涙が出そうになる。

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