骨董屋の種類さまざま 《露天商3》

僕が骨董市に出店していたのは、2年間くらいの間である。その間、骨董市の主催者の方々には
本当にお世話になった。古久根さん、石内さん、竹日さん、楽市楽座の方々、みなさん親切で
とても良くしてくれた。千の感謝言葉でも足りない。有難うございました。

僕の骨董市のスタイルは、地方の蔵や老舗の商店を廻らせていただいて、骨董品屋掛け軸などを買い出しして、それをロクに自分でも見ないで、早朝まだ暗いうちに骨董市の自分の場所に広げて、懐中電灯を片手に掘り出し物を探す熱心なマニアや店師にどんどん安い値段で売るスタイルだった。

とにかく自分でも良く見ないで、蔵の中のモノをそのまま広げるので、骨董品や古道具がウブイままだったから良く売れた。骨董品にとってウブイという事は、何より価値がある。人の目に触れれば触れる程、ウブさは無くなり、品物の輝きは色褪せてくる。
ウブイと言う事は、それだけで骨董品の世界に於いては何よりも価値の高い事だった。

何処にでもある様な5つ玉の算盤や皮のトランクケースみたいなものまで、ウブイとよく売れた。
そんものいつでも幾らでも買えるだろうって思うけど、人はウブさの魔力に引き寄せられてそれに捉われてしまうと、買わずにはいられなくなってしまうようだ。兎に角、僕はそのウブパワーを目一杯利用して売りまくった。値段も相場よりは大分安かったんだと思う。飛ぶように売れた。

主な売り物は、日が昇り明るくなる頃までには、おおよそ売れていて、あとはまあいい方は悪いがどうでもいい物ばかりだった。そこで一息ついて、僕は珈琲を飲み、サンドイッチなどを頬張りながら
知り合いの業者に挨拶をしながら回る。一回りしながら、近況などを話していると1時間くらいブラブラする事になる。さて、戻って来てからは、残りの品物は、均一料金に仕分けする。

うんと高い物は別にして(その時点では、そんなものは残っていない場合が殆どだったが)
3000円、2000円、1000円みたいな感じだ。
そんなスタイルで売っている業者は、他には居なかったので、そこからも一般のお客さんに良く売れた。まとめて買うお客さんには更に安くした。
そうこうしてると、午前中には殆どの骨董品が売れてしまい、数点の品物が残るのみになる。

それは、仲の良い業者で、ウブさとは関係なく、粘り強くひとつひとつを時間を掛けて長く売る業者に貰ってもらった。そして、僕はケースや備品のみを車に運んでお昼には帰るというスタイルだった。このスタイルは、一見スマートでいい感じがするが、在庫を一切持たないという事なので、次の骨董市までには、また車一台分の骨董品を地方の蔵から集めて来なければならない。

これは、かなりシンドイ事だった。調子がいいと、品物は次々に集まるが、そうでも無い時も勿論ある。そういう時は辛かった。骨董市のお客は僕に期待している。特に業者は、仕入れを期待して待っていてくれる。その期待に応えなければならないという重圧は、かなりのストレスになって毎週僕にのしかかって来た。

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