《骨董の流行りと廃り  その3》

壺も骨董品的な価値は、著しく下がった。
信楽も、常滑も瀬戸も越前も丹波も備前も、ことごとく壊滅状態で有る。

その昔、磁器・炻器の壺と言えば,骨董品の代表であり、誰もが思い浮かぶ骨董品のイメージである。
昭和30年代~50年代の六古窯がもてはやされていた頃に集まれられたお客様から買取の依頼を受ける事が有るが、折角のお客様のコレクションに、今の惨状に基づいた評価を付けるのが、胸が苦しくなる。辛い。

正直に現状を説明しても、誰も俄かには信じてくれない。それどころか、目が利かないかインチキかのどちらかの御烙印をおされるのが関の山である。

しかし、そんな没落した陶磁器ばかりでは無い。炻器の中でも、いまだ燦然と光り輝いているのは、桃山時代の志野焼である。

残存する数が極端に少ない。
その中でも鼠志野の焼き物は、その素朴で野趣に富んだ味わいが、絶大な人気を未だ誇っている。
絵がいいと数百万~1千万円を越える優品がざらにある。
陶磁器コレクターの夢の逸品である。